間伐直後のヒノキの人工林。
立ち込めたガスがヒノキの木立をより一層、際立たせている。
一般の人が見れば「幻想的~!」と声をあげるかも知れないが
何かがおかしい。そう整いすぎている。
大きさも揃っていて、まっすぐ伸びた木立も見事すぎる。
だがこれでいいのだろうか。
せっかく育っていた下層植物と呼ばれる草木もすべて刈り払わ
れていて、皆殺しにされているのだ。これでは光が射し込んでも
蝶も舞うことはないし、小鳥たちの歌い声も聞こえてこない。
まるで「沈黙の森」だ。
どうして成長を妨げない罪のない木までも伐ってしまうのだ。
どうして小鳥たちの喜ぶ木の実をつける木までも伐ってしまうのだ。
どうして動物たちが楽しみにしている木も伐るのだ。
どうしてほかの樹木たちと林業者たちは仲良くなれないのだ。
そんなことを考えながらヒノキ林を後にした。