林業を始めて間もない頃、スギ・ヒノキを育てるために、生育を妨げる
他の樹木や植物を切って排除することに違和感があった。
「もうこんな仕事は止めよう」と、何度思ったことか。
その都度、「僕がやめてもほかの誰かが同じことをするのだから問題解決に
ならない」と自問自答した。そんな悶々とした日々が数年続いただろうか。
それなら森林のことを理解してあげれば、今よりはやさしい林業が出来るの
ではないか。そこで、ちょつとだけ森林全般について勉強した。
樹木にも低木・高木があり、樹冠が広がるもの・尖るものがあったりする。
植林の生育を妨げにならないものは極力切らずに残しておく。
植物もしかり。きれいに刈り過ぎると植林だけになってよく目立ち、ウサギや
鹿に食ってくれと言うようなもの
雑木と呼ばれる樹木や雑草は、必ずしもスギ・ヒノキと競合するものばかり
ではないことを知った。木に巻きついて悪さをする蔓も、秋には実が熟れて
小鳥や動物たちの貴重な食料になる。
折り合いはつかなくても、少しでも森のみんなが喜ぶような作業を心掛け
ることはできる。