子供のころ遊んだ故郷の景色は時と共に変化していく。
四万十川もかつては大なり小なりの川原がどこにもあった。
今や川の両岸は岩だらけ。
コンクリ-トに混ぜるための砂利を採取し過ぎたためと、山のあちらこちらに
造った砂防ダムが流れ出る小石をせき止めたのが要因と思われる。
かつて「水は三尺(さんじゃく)流れると、ろ過される」と言われていた。
小石の隙間に棲んでいる微生物が、濁りの元になる有機物を食べてくれるからだ。
ウナギやテナガエビの棲み処の穴は微泥に埋まり、寝場所もない。
本来はアユが「はむ」と褐色に変わる岩に付く川藻が、微泥に覆われ白っぽく
見える。そのせいでアユの身が泥臭くなりやせ細る。
「日本最後の清流」と言われる四万十川。
「お前はすでに死んでいる」のだ。
後記
やや感傷的になったのは、昨日のこと四万十町の実家から「ツガニがあるので
取りに来ないか」との電話があり取りに行ってきた。
昔のツガニは甲羅が茶碗ほどあった。特にオスは大きく、足を広げると30ほど
あったものだ。今は「おちょこ」よりやや大きい程度が普通なのだ。
こんな体に誰がした!
家の前を流れる四万十川。初めて見る人はきれいに見えるかも知れない