友人に石の彫刻家がいる。
随分前に「石は重たいので扱うのが大変やね」と言ったことがあった。
その時友人は「扱い方次第で石は勝手に歩いてくれるからね 見た目より
も軽いよ」と、さらりと返してくれた。
さらに「石は地球の記憶だから色々教えてくれるよ」と続けた。
仏僧の円空も、おそらく「ここを彫れ」と木の声が聴こえたのだろう。
その道を無心で続けていると、付き合い方が見えてくるらしい。
例えるレベルが低くて恥ずかしいが僕も長年、趣味と実益を兼ねて野菜作り
をしている。
何となくではあるが、肥料や水がいつほしいのか野菜が教えてくれるように
なった。「人の足音が何よりの肥料」と言うが、昔の人はよく言ったものだ。
本業の造林では悲しいかな未だに木の声が聴こえてこない。
画像の木像画は、生前親しくして頂いた女流作家・沢田明子さんから頂いた
ものです。書以外に絵画・俳句など、こころに響く作品を遺されています。