霜の朝

霜の降りた朝は、魔法をかけられたように辺りが静まり返っている。

その沈黙を破るかのように、射し始めた朝日に霜柱が解け、サラサラと

乾いた音が聞こえてくる。

 

今日の作業は地拵え。

霜の降りた枝々を拾うのは手が冷たくて難儀する。霜が解けると今度は

手袋が濡れて冷たくなる。いいことはあまりないが、朝日に解けていく

刹那の霜の輝きは美しい。

 

造林はどの作業も簡単に儲けさせてくれないが、木材を扱う大型重機の

音はなく、自然界から聴こえてくる物音に耳を傾けながら作業ができる

ことが何よりのご褒美。

 

画像は、シソ科のシモバシラ。

シモバシラの根から、毛細管現象によって吸い上げられた水が茎から

にじみ出てそれが霜柱状に凍ったもの。