原風景

僕の記憶の片隅に残っている小麦畑の原風景。

子供のころ、小麦畑のなかの細い道を両手を水平に広げて穂先をさすり

ながら四万十川へアユやウナギ獲りに駆け抜けていた。

 

この小麦畑は西条市。

買い物に出かけるたびに色づいていくのを楽しみに眺めている。

この色づきだと穫り入れも間近。

農家は嬉しいだろうが、僕は淋しくなる。

 

話は変わるが、日本は照葉樹林帯文化(西日本)とブナ帯文化(東北

地方から北)に分けられるらしい。

西日本は稲作を中心とした食文化。それに対し東北ではブナやミズナラ

トチノキなどの堅果類、また豊かなブナ林に依存する動植物や魚類など

を採取しての食文化。

 

温暖化や利便性に頼った生活によって、自然と共生していたかつての

文化が忘れられたり消えていくのは残念だ。

   

小麦畑を見てそんなことを考えながら、買い物から家路へと向かう。