行(ゆ)き合いの空

 

真夏の太陽を背負っての下草刈りは、服がこげるような匂いがしてくる。

そんな時、早く秋の風が立つ季節にならないかな~と、切実に思う。

 

その待ちかねた季節が真近まで来た。

下草刈り作業中は、急斜面で刈り払い機を振り回しているので絞るほどの汗を

かくが、木陰で休んでいると「草いきれ」に混じって、時おりお空から冷たい

風が降りてきて体を冷やしてくれる。

そうか、空の上では秋の風と夏の風が「おしくらまんじゅう」をしているのか。

万葉の歌人は「行き合いの空」と詠んだが、空の上には秋風の通る道があるに

違いない。

 

この風を待ち望んでいたのを僕だけではない、草花たちも同じように待っていた

のだ。なんて気持ちのよさそうな顔をしているのだ君たちは。